着物をリメイクして作るカーテンの作り方|材料・採寸・縫製から取り付けまで図解でわかる完全ガイド

華やかな振袖を着た女性が金屏風の前で微笑む様子
リメイク

しまい込んだ着物を見て、思い出の一着を捨てるのは惜しいけれど使い道が分からず悩んでいませんか。

でも柄の取り方や生地の扱い、窓サイズへの合わせ方が難しく感じて二の足を踏みがちです。

この記事で素材選びから裁断、基本の縫い方、プリーツやタッセル、取り付けまで写真や図解で分かりやすく解説します。

振袖や紬、帯地など種類別の向き不向きや掃き出し窓・腰窓など窓タイプ別の採寸目安、デザイン別の仕立て方も取り上げます。

仕上げや洗濯、防虫のコツも紹介するので長く使えるカーテンに仕上げられます。

まずは材料と道具の準備から始めましょう。

続きで手順を順を追ってご案内します。

着物をリメイクして作るカーテンの作り方

華やかな帯を締めた着物姿の女性の後ろ姿

使い古した着物が素敵なカーテンに生まれ変わる工程を、材料選びから取り付けまで順を追ってご紹介します。

和の柄や光沢を活かせば、部屋の雰囲気がぐっと上がります。

材料

まずは必要な材料をそろえましょう。

  • 着物の反物または羽織
  • 裏地用の布
  • カーテン用テープ
  • ミシン糸
  • カーテン用フック
  • カーテンレールまたはポール

道具

作業をスムーズに進めるには道具が大切です。

裁ちばさみは切れ味の良いものを用意してください。

ミシンがあれば縫製が速くなりますが、手縫いでも仕上げ可能です。

アイロンは端処理や接着テープを使う際に欠かせません。

生地の採寸

窓の寸法を正確に測ることが美しい仕上がりの第一歩です。

幅は窓枠の内側幅と外側幅を確認し、たっぷりのドレープを考慮します。

項目 目安
窓幅の二倍
窓高さに十五センチ足す
余裕 縫い代五センチ含む

型紙

着物は柄の方向や継ぎ目に注意して型紙を取る必要があります。

まずは簡易的な長方形の型紙を作り、柄合わせを確認してください。

ドレープやプリーツを作る場合は幅に余裕を持たせた型紙を作ります。

裁断

裁断は布の目を確認しながら行うと仕上がりが安定します。

柄を揃えたい部分にはピンでマーキングをし、慎重に切り進めてください。

裁断の際は縫い代を必ず残し、端はほつれ防止のためにジグザグ始末を考慮します。

縫製(基本)

まずは縫い代を折ってアイロンで押さえ、仮縫いをして形を確認します。

表と裏を中表に合わせて本縫いを行い、縫い終わったら縫い代を割って整えます。

裾は三つ折りにしてミシンでステッチを入れると丈夫になります。

カーテンレール用のテープは上部に等間隔で縫い付けてください。

プリーツ

プリーツは見た目の印象を大きく左右する部分です。

基本のボックスプリーツは等幅で折りたたみ、しっかりと押さえてから縫い留めます。

ギャザーにする場合は二本取りの糸で引き寄せて均等に調整します。

プリーツの位置はカーテンを吊るした状態で微調整して決めると失敗が少ないです。

タッセル

タッセルは着物の帯地を再利用すると風合いがよく合います。

帯を細長く切り、端を折り返して縫い、房を作って仕上げます。

タッセルの中に綿や細い紐を入れて重みとまとまりを出すと見栄えが良くなります。

カーテンウエイト

裾に重りを入れると風でめくれにくく、ラインが美しく保たれます。

市販のウェイトテープを縫い込む方法が簡単で効果的です。

自作する場合はコインや小さな金属製の重りを布袋に入れて縫い込んでください。

取り付け

取り付け前に全体のアイロンがけをして、ほこりを落としておきます。

カーテンレールにフックを取り付け、均等にカーテンを吊るしてバランスを確認します。

丈の微調整は現地で行い、必要に応じて裾を詰めて仕上げてください。

着物の種類別の向き不向き

赤と黒の花柄が入った着物と帯のアップ

着物をカーテンにする際は、素材感や柄の出方、幅や長さをまず確認することが重要です。

ここでは代表的な着物ごとに、向いている点と注意点をわかりやすく解説します。

振袖

振袖は袖が長く、華やかな柄が特徴で、見た目のインパクトが欲しい窓に向いています。

ただし、袖から取ると柄が中途半端になりやすく、身頃の広い部分を使えるかがカギになります。

生地は絹が多く光沢が強いので、裏地を付けるか薄手の接着芯で補強すると仕上がりが安定します。

留袖

留袖は黒地に家紋や裾模様が入る格式高い着物で、フォーマルな空間によく馴染みます。

模様が裾側に集中しているため、上部が無地になりがちで、柄の取り方を工夫する必要があります。

家紋がある場合は配置を避けるか、目立たない部分に使って違和感が出ないようにしてください。

訪問着

訪問着は柄が全体に施されていることが多く、パネル一枚でも絵になるためカーテン向きです。

模様の流れを活かして縦長に使うと、繋ぎ目が目立ちにくくなります。

薄手の正絹が多いので、重みのある裏地でドレープ感を整えると美しく仕上がります。

小紋

小紋は柄が小さく全体に散らばっているため、柄合わせが比較的楽にできます。

  • 入手しやすい
  • 柄の再現が安定しやすい
  • 軽く扱いやすい
  • 価格が比較的手頃

こうした利点から、初めてのリメイクや広い窓のパネルにおすすめします。

紬は織りの凹凸と素朴な風合いが魅力で、カジュアルな空間や和モダンなインテリアに向きます。

厚みと目の詰まりがあるため遮光性が高く、裏地と組み合わせるとしっかりしたカーテンになります。

ただし、糸の強弱がありほつれやすい部分もあるため、裁断前に傷みをよく確認してください。

浴衣

浴衣は綿素材で扱いやすく、夏向けの軽やかなカーテンや間仕切りに最適です。

幅が狭めの反物が多く、継ぎ目が増えることを念頭に置いておく必要があります。

洗濯や日焼けに強い反面、色落ちや伸び縮みが起きやすいので、仕立て時に余裕を持たせて裁断してください。

帯地

帯地は芯が張っていて柄が凝っているため、小物やアクセントに向いています。

種類 向き おすすめ仕立て
名古屋帯 部分使いに適する タッセルや裾飾り
袋帯 パネルやボーダーに最適 見切り布や上飾り
半幅帯 短い窓やのれん風に向く アクセント帯として使用

帯地は強度があり形が出しやすい反面、硬さが目立つので柔らかい生地と組み合わせるとバランスが良くなります。

窓タイプ別の採寸目安

伝統的な竹垣の前で着物姿の女性が風呂敷を持つ様子

着物をカーテンに仕立てる際は、窓の種類ごとに採寸方法と余裕の取り方を変えると仕上がりが格段に良くなります。

ここでは代表的な窓タイプごとに幅と丈の目安、そして仕立てで気をつけたいポイントを具体的にご紹介します。

掃き出し窓

掃き出し窓は床まで届く丈が必要なため、丈の測り方が最も重要になります。

窓枠の上端から床までを測り、仕上がりを床より1〜2センチ上にするか、床に引かせるかを決めます。

重厚なドレープを作るなら幅は窓幅の2.0〜2.5倍を目安に取ると美しく仕上がります。

上部のヘッダー分や裾の巾がき分は別途必要ですので、下の表も参考にしてください。

項目 目安
窓幅 160cm
必要生地幅 320cm(2倍)
仕上がり丈 200cm
余裕丈 裾と上端で各3〜5cm

腰窓

腰窓は高さが中程度なので、カフェカーテンや腰下までのカーテンに向いています。

丈は窓下端から床までではなく、窓の下端から下に何センチ落とすかで決めます。

幅は窓幅の1.5〜2倍を標準に考えると、見た目と機能のバランスが良くなります。

取り付け位置が窓枠の外側か内側かで必要な幅やドレープの出方が変わりますので、事前に決めておくと安心です。

小窓

小窓は生地の取り回しが難しいため、無駄を出さない採寸が肝心です。

以下のチェック項目を最低限測っておくと準備が楽になります。

  • 窓枠内幅
  • 窓高さ
  • 取り付け位置の出幅
  • 重なり分

カフェカーテンや短めのプレーンシェードに仕立てることが多く、生地の目利きや模様合わせで雰囲気を出しやすい窓です。

出窓

出窓は複数の面やカーブがあり、各面ごとに採寸する必要があります。

それぞれの面の幅と高さを個別に測り、角や返し分を忘れずに加算してください。

収納や開閉スペースを考慮して、重なりやスタッキングスペースも含めた余裕を設けることをおすすめします。

デザイン別仕立ての要点

さまざまな柄の和布が並ぶカラフルな反物のコレクション

着物をリメイクした生地は一枚ごとに表情が違い、デザインによって仕立て方を変えると美しく仕上がります。

ここでは代表的なカーテンデザインごとに、採寸や縫製のポイントをわかりやすく解説します。

カフェカーテン

カフェカーテンは窓の下半分だけを覆う短めのスタイルで、キッチンやカフェ風の空間に向いています。

軽やかな印象を活かすために、厚手の着物地は裏地を付けずに使うか、薄手の裏地で透け感を整えると良いです。

  • 短めの丈
  • 軽い生地
  • 裾にウェイト
  • 中央で分ける

ドレープカーテン

ドレープカーテンはたっぷりとしたヒダで重厚感を出す仕立てです。

着物の柄をどう見せるかが要点で、縦使いか横使いかを考慮して布取りを決めてください。

仕立て フルネス目安
軽いドレープ 1.5倍
しっかりドレープ 2倍
豪華なドレープ 2.5倍

プレーンシェード

プレーンシェードは布を平らに折りたたむシンプルなスタイルで、柄がはっきり出る着物地に向いています。

サイズ精度が仕上がりに直結しますので、採寸は窓枠基準で丁寧に行ってください。

畳んだときの厚みを考えて、芯地や裏地の有無を早めに決めると作業が楽になります。

ギャザーカーテン

ギャザーカーテンは上部に細かいギャザーを寄せることでふんわりとした表情を作ります。

着物地は幅が狭いものが多いので、継ぎ目を目立たせない布取りや柄合わせが重要になります。

ギャザー量は用途に応じて調整し、開閉のしやすさも確認してください。

のれん風カーテン

のれん風は出入りが多い場所に向く、仕切りとして使えるデザインです。

着物の柄を活かして左右非対称に切り替えると、趣のある雰囲気になります。

裾にタッセルやウエイトを付けて風でめくれにくくするのがおすすめです。

仕上げと長持ちさせるメンテナンス

赤と黒の花柄が入った着物と帯のアップ

縫い上がったカーテンの耐久性は、仕上げと日々の手入れで大きく変わります。

特に着物地は繊維や染めがデリケートなので、扱い方に少し気を配るだけで長持ちします。

以下で手洗いから補修まで、実践しやすいポイントを解説します。

手洗い

まずはホコリや表面の汚れを柔らかいブラシや布で落としてください。

目立たない場所で色落ちのテストを行ってから全体を洗うことをおすすめします。

ぬるま湯に中性洗剤を溶かし、軽く押し洗いする方法が基本です。

長時間の浸け置きやゴシゴシ洗いは避けてください。

すすぎは水が透明になるまで優しく行い、洗剤残りがないようにします。

水気は強く絞らず、タオルで包んで押し出すように取ると型崩れが少なく済みます。

シルクなどの高級素材は手洗いでも縮みや風合い変化が出やすいので、専門クリーニングの利用を検討してください。

洗濯機

洗濯機の使用は素材を選ぶ必要があります。

綿の浴衣地など耐久性がある素材ならネットに入れて手洗いモードやソフトコースを使えます。

冷水で短時間の洗濯にし、中性洗剤を使用してください。

スピンは弱めに設定し、取り出したらすぐに形を整えて干すとシワがつきにくくなります。

絹や光沢のある染めの着物地は洗濯機で洗わないほうが安全です。

価値のある反物や帯地はプロのクリーニングをおすすめします。

陰干し

乾燥は直射日光を避けた風通しの良い場所で行ってください。

直射日光は色褪せを招くので、室内の窓際での強い日差しは避けましょう。

ハンガーや竿にかける際は端を均等にして、シワや偏りが出ないようにします。

厚みのある部分は特に乾きにくいので、裏返して風を当てると効果的です。

完全に乾いたら低温で軽くスチームを当て、形を整えてください。

防虫

虫食い対策は保存前と定期的なチェックが重要です。

湿気対策と併せて行うと効果が高まります。

方法 ポイント
防虫剤の使用 3ヶ月を目安に交換
陰干しして湿気を取る 収納前に必ず行う
桐箱で保管 湿気対策に有効
防虫シートを併用 臭い移りに注意

防虫剤を使う際は、布地への臭い移りや色移りに注意してください。

ほつれ修繕

ほつれは早めに対処するほど被害が拡大しにくいです。

目立たない糸で手縫いするだけでも強度が戻る場合が多いです。

自信がない場合は、無理をせずに仕立て直しを依頼するのが安全です。

  • 糸の始末
  • ほつれ止め液の塗布
  • 薄手の当て布で補強
  • 細い針で手縫いで補修
  • 専門店での補正依頼

小さな穴やほつれは部分的な当て布で長持ちさせることができます。

作業前の最終チェックリスト

カラフルな和柄の着物が並ぶ店内の様子

作業前の最終チェックは、仕上がりと手間を大きく左右します。

ここでは裁断や縫製に入る前に確認すべきポイントを、わかりやすくまとめます。

ひとつひとつ確認して、思わぬミスを防ぎましょう。

  • 生地の汚れ・色あせの確認
  • 織り傷やほつれの有無チェック
  • 必要寸法の再確認(縫い代込み)
  • 縫い代と仕上がり線のマーキング
  • 使用する道具の点検と糸の色合わせ
  • 裏地や接着芯の有無確認
  • 取り付け金具のサイズと個数の確認
  • 試作でミニサンプルを縫って仕上がりを確認

このチェックリストを終えれば、安心して裁断と縫製に進めます。